アニメ映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の押井守監督が、実写映画で国際共同製作に挑戦。世界を席巻した名監督が目指す新しい世界とは。
1997年、押井守により1本の映像作品が企画された。『G.R.M. THE RECORD OF GARM WAR』。だが、巨額の製作費が想定されたため製作が封印されてしまう。それから15年の時を経た2012年、彼はカナダ政府の補助金制度を利用し製作を開始した。この制度を利用するにはカナダで製作するという条件が付く。そのため制度の利用は、日本にとって「才能の輸出」であり作品の「逆輸入」となる。日本からは押井のほか7名のスタッフが現地入りした。残りは現地スタッフ。当初、彼らには作品作りの考え方に違いがあり、経験度合いも未知数だった。現場で急にロケーションの日数の短縮を要望する現地プロデューサーに、押井が調整に苦慮するひとコマも。時には実際に撮影が止まるなど、紆余曲折を経る。それでも押井は「映画というのは、その土地に根差している。文化の違いに大きく影響を受ける。現地のスタッフになじんで撮る必要がある」と語る。カナダで自身が求める映画製作を追求する押井守の挑戦を追う。